先日、社内Slackの#recruiting(採用活動に関する事項を投稿するチャンネル)に1件の通知が来た。
送り主は、今年の5月に入社し今月当社の取締役に就任した束原だった。以下、原文ママで転載します。
【現状の採用スタンスについて】
みなさん知っての通り、今足元で社員採用はスーパー本気で面接し、フィルタリングしてます。
最近TEAM東京で面接の機会に採用基準について話していた(半分俺の独り言)ことがあって、悪い言い方かもだけど無意識的に「1mmも薄めたくない」って表現を使いました。
その後「何を薄めたくないのか」考えたんだけど、何となく見えたこととして、「志」の大きさは大小あっていいな。と思いました。
個人の性格やキャパシティは今時点で差が絶対にあるから。
イメージ登る山の高さは人それぞれでいい。だけどそこに向かう姿勢・熱量だけは統一していたい。
それさえ薄まらなければいいんじゃないかって思いました。組織が大きくなるにつれ、全員の顔が見えなくなってくるし、セグメントも分かれてくる。
だけど、熱い思いをもって一生懸命仕事に向き合っているチームに、そうでない人が入ってきてしまうのは永遠に避けたい。上場しても避けたい。
っていうかウチだけじゃなく、そうしないと一生この業界自体が良くならないと思う。
この間、ある採用候補者と計5時間くらい話をしたんだけど、彼女の転職理由は「私の周りは誰一人仕事に夢中になっていなくて、理想の接客をしている人もいない」でした。
実際俺もそう思う瞬間が結構あります。勿論素晴らしい接客をする施設はいくつもありますが、本当にスタッフは心から仕事を楽しんでいるのか。明日出社するのが楽しみか、でいうと怪しいはず。
そうやって、本当の意味では楽しめていないけど、自分にできることはホテルの接客しかないから。という理由でただブランドや地域を変えて人材が循環している。そんなんで良くなるわけがない。
そんな悪い循環をベステイトでせき止めたいと思ってます。ベステイトが業界のロールモデルになり、全競合が真似するような会社にしたい。そんなスタンスで今採用をしています。
接客については俺もまだまだ勉強中です。
【「採用」という業務について】
まず前提として、一緒に働くメンバーは一番近くで働く人が採用した方が100%いいと思ってます。
そうすることで、“チーム意識“、”育成意識“、”採用した人自らの責任感“が増す。など、全方位的にプラスの効果があると思います。
各店舗に入ってくるスタッフは、絶対支配人が面接・採用をした方がいいし、なんなら全社員が採用業務をできた方がいい。そんな中、ウチに限らず、結構多くの人が「いつか自分もやりたい」と言う。なんとなく気持ちは分かる。
就職活動の時に登壇していた人はかっこよく見えたし、自分が人を判断する立場に立ったらなんかいい気持ちになるのかも分からん。一方で、多分採用って会社の業務の中でかなり難易度の高い部類に入ると思う。
上に書いたように、本当に優秀で想いを持った人材を獲得していくには求められるスキルや条件が多すぎ問題。
会社のビジョン、自分の夢を本気で語れる
自分が心の底から仕事を楽しんでいる(没頭している)
世の中の課題について語れる(政治・経済あらゆる方面での知識を身につけている)
基本的なビジネスの構造や知識(法律、人事、労務、会計、税務、ファイナンス、マーケ、デザイン、テクノロジー)が頭に入っている
今後の会社の展望について戦略を語れる
転職希望者の状況に想いを馳せることができる
総じて、一緒に働きテー!!って思わせることができる
俺もまだまだ全然足りないけど、それでもこいつ欲しい!って思った奴は一度も逃していないつもりです。
なので、一緒に働く人を全員が自ら納得感を持って決められるように、長期的でもいいから一つの目標タスクとして「採用」を意識して欲しい。というお願い。
逆に、上記の努力をせずして「採用やりたい」とも言わないで欲しい。とにかく今尚必要な役者は全然揃っていないので、事業を拡大していくのと並行して、めちゃ個性的でめちゃ優秀な奴をたくさん口説いて、とっていく方針です。採用方針についてとか、聞きたいこととか言いたいことがあれば何でも議論しよう。こんな長く書くつもりなかったんだけど、ノってきてしまったんで色々書きました。
代表を差し置いてこんな熱い文章をポストされては立場がない。
「代わりに俺はめちゃくちゃ熱い、熱くて読む気が失せるくらいのフィードを書くよ。」と言い放ってから1ヶ月が経とうとしているのでそろそろ本気で書こうと思う。
束原が述べている通り、我々は本当に採用に時間をかける。(最低限の人としての礼節が備わっていない人は例外)時間をかける、というよりは、慎重に、丁寧に、その人の熱量・価値観・スキル・人となりを知ろうとすると自然と時間がかかるのだ。
「この人はどう生きてきたのか」
「この人は何を大切にしているのか」
「この人はうちの会社で何がしたいのか」
「この人は何を生み出せるのか」
「この人はどういう思考プロセスなのか」
「この人がうちの会社で楽しく働くイメージが湧くか」
このようなことを様々な角度から質問したり聞き出したりしているうちに大体日が暮れる。
なぜそこまでするのか。理由は2つある。
ひとつは採用活動が自分たちの商品価値に密接に繋がっているから。
当社は今のところ在庫を一切持たない一介のホテルオペレーターだ。
誰もが知っているホテルブランドを持っているわけでもなく、特許も何もない。
当社にはお客様が2通りいて、不動産オーナー様(個人・法人問わず)と実際にお泊りになるゲストだ。
我々は不動産オーナー様には「ホテルのオペレーションによる不動産収益の向上」という商品を売っていて、実際にお泊りになるゲストには快適・清潔・安全で、一生想い出に残るような宿泊体験を売っている。どちらの商品も一人ひとりの「人」から生み出される。
つまり我々の商品は「人」と言い換えることができ、オーナー様からもゲストからも、私を含め当社の「人」を買ってもらう(判断してもらう)のである。
よって当社の採用活動は自分たちの商品価値と密接に繋がるとても大切な業務になる。
自分たちの商品価値を少しでも高めようと企業努力をするのは当たり前のことで、当社の場合それが採用活動なのでそこに時間もお金も投資している。
こう書くとすごくドライに聞こえるのだが、とても大切なことである。
もうひとつは束原も書いているように「1mmも薄めたくない」から。
シンプルに自分の人生に真剣に向き合っている人と一緒に仕事がしたい。
適当に、無思考に生きている人を採用して、不器用だけど成長しようと一生懸命にもがいている当社の社員たちの想いを薄めることだけは避けたい。
一人ひとりの知識量、経験値、スキル、キャパシティ、性格に差はあったとしても個人の夢や目標に対しては同じ姿勢・同じ熱量をもって進んでいきたい。
まだ個人の夢や目標が見つかっていないのであればそれでもいい。ただ、見つけようと努力する姿勢や熱量は皆同じレベルでありたいと思っている。
束原が文中で山の例えをしているので私は海で例えようと思う。
あまりかっこよくはないが非常に分かりやすいため、たまに社内でONE PIECEの例えを使うのだが、
麦わら海賊団は「ひとつなぎの大秘宝」を見つけるという壮大なビジョン達成のために冒険している。
同時に、ルフィは海賊王になる、ゾロは世界一の剣豪になる、サンジはオールブルーを見つける、といった個人の夢や目標を持っている。
個人の夢や目標はひとりでは達成できないため、皆同じ船に乗って協力しながら航海している。
なぜその船なのか。それは個人の夢や目標とその船の針路が同じ方向を向いているから。
ひとつなぎの大秘宝を見つけたとき(もしくはその過程で)個人の夢や目標も達成できそうだからその船に乗っているのである。
これと会社も全く同じで、世の中には無数の会社という船があって、乗船許可を貰えるかどうかは別にしてどの船に乗るかを決めるのは個人の自由である。
大きな船、小さな船、場合によっては自分で船を作ってもいい。
乗船希望者は、その船がどこに向かっているのか、何を成し遂げようとしているのか、その船を前進させるために自分は何を生み出せるか、その船で自分の夢や目標が達成できそうかを本気で考えて面接に向かうべきであり、採用担当者は圧倒的熱量でその船のビジョンを伝え、期待する役割を説明し、その人の人となりすべてを見極めるべきと考えている。(その作業には一定の時間が必要となる。)
そして一度その船に乗ったらそれぞれ役割を全うするメインキャラになり、行きつく島々で新しい技を覚えたりしながら強敵を倒さなければ、いつまで経っても成長しないし個人の夢や目標も達成できない。もし今自分が乗っている船が自分の夢や目標と全然違う方向に進んでいるのだとしたらすぐにでもその船から降りたほうがいい。
当社はそういう意味において「1mmも薄めたくない」ので名もなき海賊Aになりそうな人は雇わない。
採用する側もこれくらい本気なので、応募者側も本気で来てほしい。
もしかしたら今の時代こんな暑苦しい採用基準を掲げているのはナンセンスなのかもしれないが、それでもいい。絶対数は少ないかもしれないけど、きちんとビジョンを共有し、同じレベルで高い熱量を持った人たちと冒険した方が絶対に楽しいし、強い組織になると思うから。
ベステイトという船はEmpower Japan(現代日本社会に漂う"閉塞感"を打破し、世界で躍進する日本を創出すること。 詳しくはこちら)というビジョンを成し遂げるために日々荒波を越えている。ちなみに私個人の夢は「情熱大陸に出ること」。ベステイトが日本を再興させればさすがにTBSも代表の私を取材してくれるだろうという算段である。
代表取締役 石橋拓馬